こんにちは、三室です。
本日の大阪・心斎橋は、まだ残暑は残っているものの、風は涼しく、少し秋を感じる気候となりました。
このまま、涼しくなってくれると良いのですが・・・・。
さて本日は、ブライトリングの自社開発・製造ムーブメント「Cal.01」を極限までチューンアップしたムーブメント「Cal.BC01」を搭載した、世界限定100モデル「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®」のご紹介となります。
前半にそもそもベースとなった「Cal.01」についてと、外観について、後半に「Cal.BC01」の主な技術革新について掘り下げて記載しております。
めちゃくちゃ長いです(特に後半)が、楽しんで頂ければ幸いです。
それではどうぞ!
スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®
ブラックセラミックケース×ラバーストラップ
※詳細は下記に記載
2009年にブライトリングは初の自社開発・製造ムーブメントCal.01(発表当初はCal.B01)を発表。
ブランド初の完全自社開発・製造ムーブメントであるにも関わらず、「クロノグラフのパイオニアである」という哲学、理念から、3針のシンプルなムーブメントから着手するのでなく、
自動巻きクロノグラフムーブメントを製造・発表しました。
このCal.01の特徴は、これまでブライトリングが主に使用してきた自動巻きクロノグラフ ムーブメントである「Cal.ブライトリング13」がパワーリザーブ42時間に対し、70時間のパワーリザーブを持ち、
カレンダー搭載の機械式ムーブメントの多くが持つ「カレンダーの単独操作禁止時間帯」を解消。
これにより、何時カレンダーをリューズで操作しても、カレンダー機構に影響が無くなったので、安心して操作して頂く事が可能になりました。
また、その他にもムーブメントに関して様々な革新が行われたことににより、定期メンテナンス(オーバーホール)の適正期間が、従来の約3年~5年に1度から、約5年~6年に1度になったほか、メーカー保証期間も5年間となりました。
発表時には、ブライトリングのフラッグシップ モデルとして名高い「クロノマット 44(発表時はクロノマットB01)」に、最初に搭載され、以降「ナビタイマー」や、「スーパーオーシャン ヘリテージ」「プレミエ」などに搭載。現在のブライトリングを代表するムーブメントとなっています。
今回、ご紹介する「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®」は、そんな「Cal.01」を更にチューンアップし、より性能を高めたムーブメント「Cal.BC01」(通称 Cal.01 CHRONO WORKS®(クロノワークス®))が搭載されています。
このムーブメントは世界でたった100個しか製造されておらず、「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®」もまた、世界限定100本という大変希少なモデルとなっています。
「Cal.BC01」の主な技術革新は5つ。
1.セラミック製の受け
2.シリコン製の歯車
3.シリコン製脱進機
4.慣性モーメント可変テンプ
5.Elastic toothing(柔軟な歯車)の開発
これらすべてが重なる事により、信頼性・安全性、そして精度の向上、さらにムーブメントのパワーリザーブが、シングル バレルに関わらず70時間から100時間へとなりました。
※シングル バレルとは機械式時計の動力の源である「ゼンマイ」が1つという意味です。
Cal.BC01の5つの技術革新については、最後に掘り下げてご紹介するとして、まずは「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®」の外観からご紹介致します。
ケース素材には、マットなブラックセラミックが採用。ベゼルも同様にブラックセラミックが採用されています。
リューズ、プッシャーもセラミック製です。
ケースにセラミック素材を採用しているのは、現在ブライトリングではこちらのモデルのみ。それだけでも大変特別感のあるモデルです。
ストラップはオーシャンクラシックラバー ですが、バックル部分はケースに合わせてブラックセラミック製。
セラミック製のバックルは「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®」をご購入の方で、ご使用して行くうえで万一破損などしてしまった際のみがご注文可能となっています。
パーツのみでの発売は行っておりません。
文字盤に配置されているインデックスは、通常モデルとは異なる楔形になっており、細かい部分ではありますが通常モデルとの差異をはっきりとさせています。
ケースの裏側には「CHRONO WORKS® EDITION SPECIAL SERIES LIMITED TO 100」の文字と、○ /100のシリアルナンバーが刻まれています。
また、ケースバックはサファイヤクリスタルガラス製の為、特別ムーブメント「Cal.BC01」を時計の裏側からご覧頂けます。
ケースバックから覗くロータもブラックケースに合わせて、ブラックに加工されています。
楔形のインデックスや、時分針もマットなサテン(艶消し)仕上げに統一されており、ケース・ベゼルを含めオールブラックにまとめられたスタイルはスタイリッシュでカッコいいです!
外観だけでも、レギュラーモデルと素材や細かなデザインが異なる為、特別感たっぷりですが、やはり一番特別なのは、世界でたった100個しか作られなかったムーブメント「Cal.BC01」です。
それでは、少し長くなりますが、先にご紹介したムーブメントの「5つの技術革新」について一つ一つ掘り下げてご紹介致します。
まず、1つ目の「セラミック製の受け」
これは正確には「輪列受け」のことを指します。輪列受けとは、Cal.BC01においては2番車(分針が付く)、3番車、4番車(秒針が付く)、ガンギ車を固定するパーツとなっています。
2番車には分針が付き、4番車には秒針が付きます。3番車は、2番車から伝わってきた動力を倍速にして4番車に伝える歯車となっており、この歯車が2番車の「1時間に1周回る」速度を、4番車に伝えるときに「60秒で1周回る」速度に変換しています。
ガンギ車は輪列を介して伝わった動力をアンクルに伝え、また調速を輪列に伝える役割を持ったパーツです。
時計が動いていれば常に動いており、また消耗も激しい歯車を支えているこの「受け」をセラミック素材にする事により、軸の回転により発生する摩耗を最小化させ、また穴石(人口ルビー)も一部不要となったため、通常47石から38石と、2割の削減に成功。注油の必要もなくなりました。
次に「シリコン製の歯車」について
2番車、3番車、4番車の3つの歯車をシリコン素材にする事により、剛性が高くなり歪まなくなりました。
また、従来の歯車の半分の重さになった為、その分、歯車を動かす為に必要なエネルギーが減少。よりスムーズな作動とパワーリザーブの延長に繋がりました。
3つ目は「シリコン製脱進機」について
まず「脱進機(エスケープメント)」とは、「ガンギ車」と「アンクル」で構成されており、テンプに対して往復運動するための力を与え続けるとともに、テンプからの規則正しい振動で輪列を制御するパーツです。
機械式時計は、ゼンマイを巻き上げ、そしてそれが解ける力で時計を動かしている、というのは皆様ご存知かと思いますが、ただゼンマイを巻いて解けるだけですと、ゼンマイを巻いている手を放した瞬間、あっという間にゼンマイが解けてしまいます。
それを防ぎ、「振り子の等時性」を利用して一定速度で歯車が回転するための仕組みが「脱進機」です。ゼンマイの動力で回転し続ようとするギザギザの歯車「ガンギ車」を、振り子と連動する2つの爪が受け止めたり外したりすることで、ガンギ車が一定速度で回転することになります。
詳しくは、こちらのスタジオ ブライトリングのページにて分かりやすく図解で解説しておりますので、ご参照ください。
「脱進機」は、次にご紹介する「テンプ」と組み合わさる事により、時計の精度を司る、いわば心臓部となります。
その「脱進機」のパーツである「ガンギ車」と「アンクル」これをシリコン製にする事で重量と慣性を減らし、通常アンクルの先端に取り付ける「ツメ石」を不要にしています。
これによりエネルギーの損失を減少。ガンギ車、アンクルの形状そのものも見直され、エネルギー効率が42%向上しました。
4つ目は「慣性モーメント可変型テンプ」について
「テンプ」とは、振り子の仕組みを小さく持ち運びができるようにしたものです。
「ヒゲゼンマイ」という等時性のあるバネの伸縮によって、テンプが振り子と同じように一定周期で回転振動するようになっています。
等時性を持つ「テンプ」と「脱進機」を組み合わることにより、機械式時計は時間の進みを一定に保ちます。
ちなみに、機械式時計の「チチチ」という音は、アンクルの爪でガンギ車の歯を受け止めたり外れたりするときの音です。
ところで金属は温度変化により「膨張」「収縮」します。
「テンプ」の金属も当然温度によって「膨張」「収縮」の影響を受けてしまうのですが、振り子の役割を担うこのパーツが膨張、あるいは収縮してしまえば、当然制度に影響が出てきてしまいます。
この「温度変化による精度の変動」を限りなく減らす為に、Cal.BC01の「テンプ」は、通常のCal.01に組み込まれる「テンプ」とは異なる形状になっています。※上記図参照
それが、「慣性モーメント可変テンプ」と名付けられた「テンプ」です。
真鍮パーツとニッケルパーツで製作されており、完全な円形ではなく、外縁をニッケル、4本のアームが真鍮で出来た半円状のパーツで構成されています。
温度変化によりアームが収縮・膨張し制度への影響を吸収。
緩急針を不要としゴールドのマスロットによりタイミング調整をする仕組みになっています。
最後が「Elastic toothing(柔軟な歯車)」
「Elastic toothing(柔軟な歯車)」と名付けられた、変わった形状をした2重構造の歯車(下記図参照)によって、クロノグラフの作動の際のふらつき(針ブレ)を抑えるために、クロノグラフ車に取り付けられるバネ「フリクション スプリング」を不要になりました。
「フリクション スプリング」とは、水平クラッチ、垂直クラッチに関わらずクロノグラフ車に取り付けられるバネの事で、わざと弱い抵抗を与える為のパーツです。
クロノグラフ車から動作が伝わる最終箇所となっており、この箇所は長いクロノグラフ針が取り付けられるため、作動時に歯車(文字盤上ではクロノグラフ針)がふらつく(針ブレ)事が有ります。
フリクションスプリングによる弱い摩擦力は、このふらつき(針ブレ)を抑える役割を持っており、基本的にクロノグラフ作動時に発生する振り角の低下の率はこのフリクションスプリングの摩擦力の強さによって決定します。
Cal.BC01に採用されている「Elastic toothing(柔軟な歯車)」は、歯車の歯の一つ一つが二股に分かれており、これによりそれぞれの歯に微弱な弾性を持たせています。※上記図参照
この弾性によって歯車の遊びが吸収できるようになっています。
その為、通常はクロノグラフ針のふらつきを抑えるためにわざと抵抗を与える為のフリクションスプリングが不要になりました。
4番車(秒針が付く)と垂直クラッチ(クラッチホイール/クロノグラフの作動に関係)の間にある中間車で、上の図では、青色の歯車が4番車、金色の歯車が垂直クラッチ(クラッチホイール)となっています。
この歯車は2重(2段)構造になっていますが、上下は常に固定されており、歯車の上段がクラッチホイールに、下段が4番車に常に噛み合っています。
つまり、クロノグラフが作動していても、停止していてもクラッチホイールは動いている状態になります。
これにより、クロノグラフの作動・停止を問わず常に高い精度を保てるほか、フリクションスプリングによる摩擦が無くなったことでエネルギーの損失を15%減少させる事に成功しました。
上記5つの技術革新が全て合わさる事により、エネルギー効率を飛躍的に向上させ、シングルバレルで100時間(4日以上)のパワーリザーブが可能となったほか、総合的な制度の精度等のパフォーマンスも向上しました。
ブライトリング ブティック 大阪では、現在「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®」を実際にご覧頂ける国内唯一の店舗となっています。
お値段は何と¥4,630,000-(税抜)
当店でご用意しているお時計の中で一番高価なお時計となっています。
全く可愛くないお値段ですが、ブライトリングの技術を極限まで詰め込んだ特別なモデルとなっておりますので、是非この機会に一度ご覧下さいね。
スーパーオーシャン ヘリテージ クロノワークス®
Ref SB01B91QRS
セラミックケース×ラバーストラップ
ケースサイズ 44mm
防水 100m
ムーブメント ブライトリング 完全自社開発・製造ムーブメントCal.BC01(クロノワークス®)
パワーリザーブ 100時間
¥5,000,400-(¥4,630,000-/税抜)